銀行カードローンの過剰融資問題とは
お金がないときにどうしてもお金が必要になった場合、どこからか借りる必要が生じます。個人の場合、以前は消費者金融を利用することが多かったものの、近年では銀行から借金をすることが増えているのです。これは融資を受けることに変わりはありませんが、カードローンという手段によってお金を借りています。消費者金融の店頭に赴いて借金を申し込むというかつての方法とは異なり、銀行カードローンはインターネットのみで申し込みが完了するという手軽さから利用者層が若者世代となっていることに加えて、銀行は総量規制の対象外なので一人の債権者に対して収入よりも遙かに多い金額を貸し付けることが可能になっています。
このためとても返しきれないほどの借金を抱えてしまう若者が続出しているのが銀行カードローンの過剰融資問題です。若者世代は手軽な手続きでお金を借りられることから借金に対する抵抗感が減っていて、個人破産や自己破産といった債務整理をしなければならない状況に陥ることが少なくありません。
即日融資停止などの自主規制
銀行カードローンの過剰融資問題は一般的にも広く知られるようになり、融資を行う側である銀行も自主規制を行うようになってきています。その筆頭に挙げられるのが即日融資の停止です。カードローンはインターネットのウェブサイトで申し込みを行い、本人確認のための免許証といった書類を提出することもウェブ上で行われています。そして審査は当日中に行われ、申し込みをした日のうちにお金を借りられるようになっているのです。
こういった仕組みは利用者にとって利便性の高さはあるものの、借金をしているという自覚を持たないまま複数の銀行カードローンを利用してしまうこともあります。そのため銀行側は即日融資を取りやめ、借金をするということを利用者に意識させるようになってきています。ほかにも収入証明書の提出を必須化したり、気軽に借金が出来るという内容のテレビCMを取りやめるといった自主規制によって銀行カードローンを健全化させるよう努めているのです。
銀行カードローンの審査から融資までの流れ
銀行カードローンの利用方法は非常に簡単です。パソコンやスマートフォン、タブレットから利用したい銀行のウェブサイトにアクセスし、カードローンの申し込みページを開きます。すると氏名や住所、年齢のほかに勤務先や年収などを記入する項目があるのですべてを埋め、さらにカードローンとして利用したい、つまり借りたい金額を入力します。そして最後に免許証などの本人確認書類をスマートフォンなどのカメラで撮影し、ウェブサイトにアップロードするだけで申し込み手続きが完了するのです。
手続きが完了した後は審査を待つことになりますが、多くの場合で勤務先への在籍確認などはなく、銀行側が機械的に申し込み内容の検証と信用情報機関への確認を行い、問題が無ければ融資が決定するのです。利用者は銀行の支店やコンビニのATMから利用限度額までの現金を引き出すことができ、返済もATMから行うことが可能です。過去に返済の遅延などがなければほぼ確実に利用できるようになっています。
銀行カードローンは総量規制対象外ではなくなる?
あまりにも手軽に利用できる銀行カードローンによって、返しきれないほどの借金を背負ってしまう若者が増えたことが社会問題化しています。日本政府としてもこの問題を放置しておくわけではなく、対策を講じる動きが出てきています。なかでもこれまで銀行は対象外とされていた総量規制が適用されるようになるとの見通しが強まっているのです。総量規制とは主に利用者の年収の3分の1以上となる金額を金融機関が貸し出すことが出来なくなる規制で、この制度によって利用者は自信が返済を許容できる金額までの借金しか出来ないことになっています。
しかし、銀行はこの総量規制の対象外だったために年収以上の金額を貸し出すこともあり、利用者も複数の銀行カードローンを利用して多重債務状態に陥るという事がありました。つまり、総量規制の対象となれば利用者は借りられる金額自体が減るため、身の丈を超えて借金をするということが減ると期待されているのです。
まとめ
銀行カードローンは簡単な手続きでお金を借りることが出来る金融サービスです。突発的にお金が必要になったときなどその利便性が役立つ場合もありますが、借金をするということが日常的な出来事になってしまい複数の銀行カードローンを利用するなど最終的には返済できないほどの借金を背負ってしまうこともあります。そういった事態に陥らないためには利用者側の自意識も必要ではありますが、お金を貸す側である銀行も自身の利益を追求するだけではなく利用者が困難な状況に陥らないようなサービスを提供することも大切です。
そういった意味で、銀行カードローンの過剰融資問題はお金を借りる利用者だけが悪いということにはなりません。銀行も自主規制に取り組むなど改善の兆しが見えていますが、強制力があるわけではないためメガバンクはともかく地方銀行などでは実践していないこともあるのです。そのため、銀行カードローンにも総量規制の適用が求められています。