キャッシング・カードローンの借金は契約者が死んでもチャラにならない
カードローンなどで借金をしていた人物が不慮の事故などで亡くなった場合、家族にはその人物の借金が残されることになります。この場合、その借金の扱いがどうなるかですが、当然ながらその借金は消えることがありません。そのため、遺品整理などをしていく中でカードローンのカードを見つけ、恐る恐る残高を調べてみたら数百万円単位で借金をしていたという事実が発覚することも決して珍しい話ではないです。また、本人の借金だから自分には関係ないと家族がそれを無視することもできません。
キャッシングなどを利用する人の多くは家族には内緒で借金をしているケースがほとんどです。人によってはどれだけ病気で苦しい思いをしていても、その事実だけは話さないという人もいます。どれだけ借金をしていても本人が死ねばチャラになっていたら経済がすぐに破たんすることはだれが見ても明らかです。本人が死んでも借金は残されるという現状を知らないといけません。
キャッシング・カードローンの借金は相続される
亡くなった場合にはその人が持つ遺産を相続することになります。相続といえば家や土地、株券に現金など様々なものを浮かべますが、借金も同じように相続をすることになってしまいます。返済義務がそのまま法定代理人に移るような形です。ここで気をつけておきたいのが法定代理人に未成年が関与しているケースです。未成年は法律行為ができず、代理人を立てる必要がありません。親権者もこの場合は法定相続人になっており、利益相反の関係になるため、別の代理人を立てる必要が出てきます。
債権などはそっくりそのまま家族が引き継ぐことになってしまいます。つまり、当人の借金はいわば家族の借金と同じようなものです。もし借金が発覚した場合には自分自身が積極的に関与しなければならないと思ってよさそうです。何もしなければ自らが借金を返していくことになるため、ありとあらゆる手を打ってできるだけ自分以外の借金は返さないというのも必要になっていきます。
借金を相続したくない場合は相続放棄も可能
相続したくない場合におすすめなのが相続放棄です。これをすることですべての遺産を放棄することになり、家や不動産などを手にできないことになりますが、借金を回避するにはそれが一番手っ取り早いです。もしそうする場合には相続が発生してから3カ月以内に家庭裁判所に申告を済ませることが必要です。この申告がないと、放棄を認めてくれないため、時間だけが過ぎてしまい、すべてを相続する単純承認という形で勝手に始まります。
その一方で今住んでいる家なども対象の場合に、借金を相続したくないから放棄をするとなれば、場合によってはその家を手放すことになってしまいます。そこでおすすめなのが限定承認というやり方です。プラスの財産の中で借金を返していくというやり方が可能であり、相続されたプラスの財産以上にマイナスの財産があったとしても返さずに済みます。この場合は法定相続人全体での同意や税金の発生などがあるため、注意が必要です。
住宅ローンでの借金は事情が異なる
カードローンなどの借金では限定承認などのやり方で大丈夫ですが、住宅ローンの借金しかない場合は話が全く異なります。仮に住宅ローンの名義人が死亡した場合にはそのほとんどにおいて借金は帳消しになっています。これは団体信用生命保険というものに住宅ローンを組む際は半ば強制的に入らされるからです。
亡くなったとしても、そこから保険が出て住宅ローン分を弁済してくれることから、少なくとも家だけは確実に残せるような形になります。このため、住宅ローンを抱えていたとしても住宅ローンの返済をどうしていけばいいかというような状況にはなりにくいです。
場合によっては、住宅ローンを組んで借り入れが始まって間もなく亡くなってしまい、一度も返済せずに住宅ローンを弁済するケースも見られます。カードローンなどではこうした仕組みはありませんが、住宅ローンではこうした制度があるため、残された家族からすれば多少ホッとできる状況と言えます。
まとめ
他人に迷惑をかけないよう、自分だけでなんとか借金を返そうとする人がおり、その姿勢は立派ですが、亡くなってしまえば結局は家族がそれを引き継ぐことになります。特に一家の主がそれをしていて、同時にプラスの財産もある場合にはどのように処分をしていくかも遺産相続の中では結構な揉め事になることもあります。
一番大事なことは借金をしないようにすることや、借金をしてしまってもすぐに家族に伝えることですが、体調が悪くなったタイミングで言うことも必要です。特に高額な借金がある場合にはすぐに伝えないと家族に迷惑をかけることになります。
相続放棄を行うか限定承認を行うかで色々と変わり、先祖代々の土地を守りたい場合はあえてその借金を背負うケースも見られます。1つ言えることは亡くなったら借金がチャラになるほど単純な世界ではないということです。ひょっとしたら子供に背負わせるかもしれないなどと思いながら計画的に利用していくことが求められます。